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2019.08.16 | 健康

熱中症予防は十分な水分補給から


【医師監修】夏を元気に乗り切ろう! 今すぐ始める熱中症対策!【第3回】


熱中症のリスクは、「暑さ指数」で28度を超えると一挙に高まります。

屋外で運動や活動をする場合は、無理をしすぎないこと。運動をするなら15〜20分ごとに休憩をとることが鉄則です。

今回は、国立成育医療研究センター救急診療科診療部長植松悟子医師が、熱中症予防のさまざまな質問に回答します。



日常生活に組み入れたい予防策



Q.熱中症の治療をしている中で気になることは何ですか?



毎年、さかんに「熱中症予防のためにしっかりと水分をとりましょう」という啓発がなされても、必要な水分量がどれくらいかわからず、十分な補給がなされないために熱中症を発症しているケースが多いことです。



Q.子どもと昼間ちょっと出かける時にも水分補給は必要でしょうか?



1時間水分をとらずに暑いところに居続けるだけで熱中症の可能性は一挙に上がります。

炎天下、お子さんと歩いてちょっと離れたスーパーなどを往復するなら、その間に少なくとも1回は日のあたらない場所で水分補給するようにしてください。


夏は、汗をかくので特に水分補給の必要性が叫ばれます。

しかし、季節にかかわらず、私たちの皮膚からは水分蒸発がなされていますし、吐く息にも水分が含まれていて、常に体から水分が消えているのです。


普段から必要な水分量はさほど多くはありませんが、環境温度(外気温、室温)の上昇、風邪による体温の上昇や活溌な活動(運動)といった条件により増えていきます。


それで運動しない場合でも水分摂取は不可欠で、夏季の推奨補給量は9〜10歳なら20分ごとに100〜250mL、高学年から中高生ではそれ以上となっています。



Q.では、運動する子どもたちにとって適切な水分補給量はどのくらいと考えればいいのでしょうか?



スポーツ少年団の夏期練習中における水分摂取の実態調査(「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」発行:日本スポーツ協会)では、「バレー、バスケット、サッカーなどのように比較的運動量の大きな種目では、2時間半程度の練習で1リットル以上の汗」をかくことがつかめたようです。

これは主なる対象が中・高校生になります。


また、アメリカの研究では思春期の子どものテニスといった運動時の発汗量は1時間に1L、特に激しい運動では1時間に2Lを越えるという報告があります。


もし、2時間で1L以上発汗するのなら、体が必要としている水分摂取量はその倍から倍以上になるはずです。


心臓や腎臓の機能が正常で、元気に走り回れる子どもたちの多くにおいて、水分を摂り過ぎることのデメリットは思い浮かびません。


むしろ、発汗や必要な水分に摂取量が追いつかない事の方が、気にかかります。



Q.運動時に1L以上水分補給するとして、そのタイミングを教えてください。



1Lは、1度に飲める量ではありませんから、20分くらい(幼いならもっと短時間)に1度は休みをはさんで水分補給したいところです。

個々の「のどの渇き」に応じて、十分な水分補給が必要になります。



Q.具体的にはどんなものを補給すればいいのでしょうか?



発汗により失った水分をなるべく早急に補って体の負担を軽くするには、ただの水ではなく、発汗で喪失した塩分や、糖質(糖分)が含まれているイオン飲料、経口補水液、スポーツ飲料などをおすすめします。

運動や活動時に体の内部で消費される糖質を補給することで疲労が軽減されます。


子どもたちには、大人用ではなく糖質が抑えられている乳幼児向けのものが最適です。

とはいっても、水分補給のたびに口にすると糖質摂取量が過多になります。糖分のとりすぎには要注意。

イオン飲料などは、炎天下での外出や遊び・運動で汗をかいた後などに限ることが必要でしょう。


手作りのスポーツドリンクについてのレシピも広く出回っています。

レシピの塩分量は1Lの水に対して1〜2g程度が多いようです。

この1〜2gというのは非常に微量です。

出かける時に急いでいて量を間違えると子どもの体調を崩しかねませんから、乳幼児は特に市販品を用いることをおすすめしています。



Q.水分補給以外にできる対策を教えてください。



<暑さ指数>


「暑さ指数(WBGT)」は、気温だけでなく、湿度、日射・輻射(ふくしゃ)など周囲の熱環境も考慮して熱中症の危険度を表した指標です。

28度を超えると、熱中症患者発生率が急激に上昇します。そのため、28度以上の時は外出を避け、激しい運動を避けるべきであるという指針が、日本生気象学会、日本スポーツ協会両方から示されています。


暑さ指数は、毎日*地域別に更新されています。同じ気温でも運動の内容によって危険度は増します。スポーツや屋外活動の指導者は、暑さ指数をもとにその日の活動内容や練習メニューを考え、お子さんに無理させないことを心がけてください。*2019年は4月19日~10月14日


(環境省 熱中症予防情報サイトhttp://www.wbgt.env.go.jp/mail_service.php)、メール配信サービスもあります。


<衣服>


(通気性)体に対してゆとりのある服は、風が通るので熱を逃しやすく、体温が下がりやすいので、熱中症予防となります。

長袖でも風が通るならば日射をカットするので、上手に使い分けてみましょう。

(色)光を吸収しやすい黒ではなく、白っぽいものを選んでみてください。


<帽子>


帽子を被ることで黒髪の熱吸収を抑えます。色は衣服同様、なるべく白っぽいものを。


<規則正しい生活>


疲れや体調不良は、熱中症のリスクを高めます。

朝食も睡眠も十分とって、規則正しい生活をして体調を整えることが非常に重要です。



Q.本格的な熱中症シーズン前からできる対策もありますか?



気温の急激な上昇に体がついていけず、5~6月に熱中症になるお子さんがいます。

対策として気温が高くなってから1〜2週間くらい、10歳程度なら毎日2時間程度、外で活動して暑くなった環境に慣れるようにします。

すると、初日よりも2週間目のほうが汗を上手にかけるようになり、熱を放出しやすくなるのです。


こういったことを順化と呼びますが、気温だけでなく子どもの体調も日々異なるため、状況に応じて判断して慎重に実施する必要があります。


体を鍛えたり、気候に柔軟に対応させる点から考えると、熱中症対策としてわざわざ屋外で過ごしたり、遊んだりというのでなく、季節にかかわらず毎日ある程度の時間、歩いたり、散歩したり、外遊びをしたりして体を動かすことが望ましいのです。



Q.水泳時にも休憩や水分補給が必要でしょうか?


全身運動である水泳は体力消耗が激しいスポーツなので、活動の合間に十分な休息が必要です。

直射日光があたる屋外プールでは、日差しが避けられるようにひさしのあるところで休憩をとります。


水中で汗をかく感覚がなくても、汗をかいていないわけではありませんし、体力も消耗されています。

水泳でも発汗や活動で失った水分、塩分やエネルギーを補うために、塩分や糖分を含んだ飲料をとることを心がけましょう。(了)