水を通してココロ・カラダぐんぐん!お母さんたちの子育てを応援するマガジン

2018.03.01 | 育児

笑って子育て! お母さまのストレスマネジメント 連載スタート!

子育ての悩みは尽きないもの。「こうなってほしいのに……どうして!!」「こうするって、約束してくれたのに……あれれ??」とお子さまや、ご自身をとりまく人々に振り回されることも珍しくないことでしょう。

日常の子育てに対する捉え方をちょっと変え、日々明るく朗らかに過ごすためのヒントを、3人の子どもたちを妻とともに育て上げた、育児学の専門家で、白梅学園大学学長の汐見稔幸(しおみ としゆき)さんに教えていただきました。

全5回シリーズでお届けします。


1回
日々、子育てを頑張っているお母さまたちへ


Q.子どもにはニコニコしていたいのに、時にストレスを感じてイライラしてしまう。こういった悩みを抱えるお母さまが増えている現代の子育てをどう捉えればよいのでしょうか。


A.子ども一人を育て上げるのは、今も昔も並大抵のことではありません。しかし、現代の子育てはお母さま、お父さまが育った時代とは大きく様変わりし、現代特有の事情が加わって大変さが増しているといえそうです。

それは、「ワンオペ育児」ということばが象徴しているかもしれません。


ワンオペ(ワン・オペレーションの略)とは、24時間営業店舗で深夜などに見られる、すべての業務を従業員がたった1人でこなす作業状態をいいます。それを育児に当てはめた「ワンオペ育児」とは、一方の親の単身赴任、長時間勤務、病気といったさまざまな理由でもう一人の親が一手に子育てを担うことです。


実際、今日の育児は、お父さまや地域社会のサポートがあってもお母さま一人の負担が大きいのではないでしょうか。

お子さまの成長について1から10までがお母さまの肩にかかっているとすれば、お母さまの緊張は高まりますから、ストレスを感じるのはごく自然なことです。


Q.昔の子育てとは、どのようなものだったのですか。


A.社会全体で子どもを教育していたのが以前の子育てです。

子育てのまっただ中にいると、「こうやってするものだ」と思い込んでしまうかもしれませんが、以前は、お母さまが子どもに直接関わることが今ほどありませんでした。


私は団塊の世代で、今の子育て世代の親にあたる年齢です。

私の子どもの頃は、家事は重労働でしたから「火をおこすのを手伝って」とか、「これを運んで」と親から言われたものです。

子どもの方はと言えば、「遊びたいのに!」と思いながらも、ちゃんとやると親が褒めてくれるのがうれしいので、「効率よく済ませるにはどうしたらいいか」とか、毎日やることになっていることは「工夫してもっと上手にできるようになりたい」と考えながら実践していくようになります。

今、振り返るとこの体験は貴重な学びとなり、仕事や生活スキルにつながっていきました。

   

手伝いがないときは、「外で遊んでおいで」と言われて、道端や原っぱで近所の子どもたちと群れて遊ぶ。「ここに何かを作ろう!」という話になったり、夏には川遊びなど、自分たちで自由に考えて毎日体を動かす。

そういったなかで工夫する力、考える力、失敗した時の対応力、コミュニケーション力、体力といった生きる力のベースを身に付けていったのです。


協調性といった社会性は、年長の子が年下の子どもを世話し、年少の子は年長の子に憧れてまねしたり、地域の皆が参加する祭りなどの行事などを通して自然と覚えていきました。  

家庭では、「そういう言葉遣いはダメだよ」といった最低限の礼儀作法だけを躾(しつ)けられ、社会全体が子どもを教育していったのです。

Q.では、かつて地域のお兄さん、お姉さんたちと一緒に遊び、地域の行事に参加して大人たちから教わっていた社会性を養う代替の場はどこなのでしょう?


A.保育園・幼稚園・学校もありますが、明らかに家庭の重要度が上がっています。

そのことによって人間としての資質の向上も社会性の習得も、お母さま一人の双肩にかかってきているとしたら、それは非常に大変なことです。

現代は、外でお子さまだけで遊ばせるのが難しい状況にあります。となると家の中で過ごすことが多くなり、公園で遊ばせるにしてもお母さまが付き添うことになります。絶えず大人が子どもたちのそばにいなければならない時代となったのです。


本来、子どもは年長、同世代、年少と幅広い年齢層の子ども集団で遊んで社会性を育てたのです。家の中だけに置かれた状態で「社会性をちゃんと育ててください」と言われても困ってしまいますよね。 


Q.お母さまが、ストレスを感じるのは当然なのですね。


A.人間として必要な資質や能力を伸ばすだけでなく、夢を描いて実現していく姿勢、形にしていく力についても親が中心になって手取り足取り教えるというのは、これまでの人類史上例がないことです。

いわば“人類史上初”の状況で子育てをしていくというのは、言ってみれば教習所内での乏しい練習だけで、いきなり高度な技術が求められる高速道路を走るようなものです。


そんな中で、育児を頑張っているすべてのお母さま! 子育てでイライラすることがあっても、それはお母さまが手を抜いているせいではありません。“笑って子育て!”をモットーにまずは、ご自分を十分に褒めてあげてください。

汐見稔幸(しおみ としゆき)さん プロフィール

1947年、大阪府生まれ。白梅学園大学・白梅学園短期大学学長,東京大学名誉教授。東京大学大学院教育学研究科教授を経て、現職。専門は教育学、教育人間学、育児学。三人の子どもの育児経験から父親に育児参加を呼びかける。

『人生を豊かにする学び方』など著書多数。2018年度から施行される新しい保育所保育指針についての改定の検討を行ってきた社会保障審議会児童部会保育専門委員会の委員長も務める。


第2回目は「ストレスはあって当たり前。上手に対処」です。

どうぞお楽しみに。