水を通してココロ・カラダぐんぐん!お母さんたちの子育てを応援するマガジン

2019.03.02 | 育児

子育ては、「楽苦美(ラグビー)」の精神で!

お母さまたちの子育てお悩み相談室【第7回】



家族の絆を強めて、皆が笑顔で過ごせるようにしたい。笑って楽しく、子育てしたい。こういったお母さま、お父さまの思いをどのように日々の生活に反映させればいいのでしょうか。その答えを「楽苦美(ラグビー)」の精神を交え、アドバイスします。(記事監修/恵泉女学園大学学長 大日向雅美)




Q.子育てを楽しくするには、どうしたらいいでしょうか?



そもそも子育ては、地道な日々の生活の繰り返しの中にあります。こんなふうにすれば楽しくなる、という正解はないという気がします。


日々の暮らしも仕事も、地道に続けるのは根気が必要で、ストレスがたまることでしょう。それが「生きる」ということなのだと思いますが、しかし、そんな中にも、キラッと光るシーンに出合うことがありますね。そんな瞬間があるから、つらいことも忘れて、「ああ、よかった」と思えるのではないでしょうか。


子育ても同じです。子どもを一人前に育て上げるという一大事業は大変で当たり前です。でも、わが子が全身で慕ってくれる愛(いと)おしさや、それまでできなかったことができるようになった時のうれしそうな顔などが目に入ると、それまでの苦労がどこかに飛んで行ってしまうのです。


いつも満面の笑顔で子育てができればいいのですが、残念ながらそうはいきません。それは無理です。むしろ、思いがけない時に出くわす光り輝く瞬間を大事にしましょう。


Q.子育てを「ラグビー」に喩(たと)えていらっしゃいますが・・・。



楕(だ)円形をしているラグビーボールは、弾んだらどこに跳んでいくか見当がつかないそうですね。必ずしも真っすぐには進まない。まさに思い通りにならないという点で子育てに似ていませんか?


親が善(よ)かれと思っていろいろ試みてみても、思い通りの結果にならないことが多いのが子育てです。「こちらに投げたつもりだったのに、あっちに跳んでいっちゃった」という思いにかられることも珍しくありません。それでも、わが子をありのままに受け入れて、愛し続けることが親の役目かと思います。


また、楽しい、苦しい、美しいと書いて「楽苦美(ラグビー)」と読めますよね。


子育ては楽しいことと苦しいことの繰り返し。でも過ぎてみると、人生の「美しい」ひと時だったと思えます。二人の娘たちの子育ての日々を振り返って、よくそんなことを夫と語り合ったものです。


「楽苦美」の「美」は、髪を振り乱して子育てをしている時には気づかないかもしれませんね。大変な時期が過ぎ去ってみて、「実はいろいろあったあの子育て時期こそが、人生の中でも殊の外美しい時間だったのでは……」と、しみじみ懐かしく思い返す時が訪れることでしょう。


Q.正直、ちょっとした反応や行動にイラっとすることがあります。こんな時、子どもをどんなふうにみればいいのでしょうか?


イラっとしてしまったり、憎らしく思うことがあってもいいんですよ。それが自然です。


大切なことは、「それはなぜ? どうしてそうなるの?」と問う気持ちを忘れないことです。そこから解決の糸口が見つかることも少なくなりません。


私は心理学者として、行動を科学することを生業(なりわい)にしてきました。


例えばある人にひどいことをされたとしても、その人がなぜそういう行為に走ったかを分析してみるのです。「この人にはこういう理由があったのか」とわかると、不思議なことに憎む気持ちが薄れるのです。許すという傲慢(ごうまん)なことではなく、理解できるということです。


子育てにおいても、わが子を理解することが第一です。理解とは英語で「understand」、つまり下に立つことです。寄り添うのではなく、足元に立つということです。寄り添うということも大切ですが、気がつかないうちに、自分の思う方向に相手の手を引いていこうとしないとも限りません。むしろひざまずいて、相手の足元から見上げるという気持ちでしょうか。


そうすると、不思議なことに全体がよく見えてきます。理解ができる。子どものことが理解できると、愛おしさが増します。

精いっぱい生きているお子さんをあるがままに受け止めてください。一生懸命生きている姿を親が認めてエールを送り続けることが大切です。

そんな親の眼(まな)差しに守られて、子どもはその子なりに自分の足でしっかりと地を踏みしめ、一歩一歩、自分の人生をしっかり歩んでくれるはずです。